私は、オーストラリアの弁護士資格を持った日本人。この視点から、今後、シリーズでオーストラリアの弁護士について書こうと思います。
オーストラリアの弁護士は、Solicitor(ややオールドファッション的な言い方)やLawyerと呼ばれます。
オーストラリアで弁護士になるには、法学部(Law School)を卒業していなくては成れません。
日本は、今は法科大学院を卒業するのが主流になったようですが、それでも、司法試験に受かれば法学部を出ていなくても弁護士になれます(こちら参考)。司法試験が大変で毎日何時間も勉強したという話は聞きますが、オーストラリアの法学部の勉強は正にその世界です。
私の法学部時代は、4年間、毎日10時間は勉強しました。勉強しないと授業についていけない、アサイメントもプレゼンもオージーの学生と同等レベルな内容にならないからです。毎日、早朝から夜まで勉強に没頭し続けやっと卒業。そして、高等裁判所の任官式で弁護士資格の証書を授与された時は、涙が出ました。
しかし、これは苦難のスタート。
Billable hoursとは
法律事務所に入って待っていたのは、Billable hours。
Billable hoursはビラブルアワーと言ってクライアントに請求できる時間のことで、6分刻みx10が1時間、これを x 6で1日60時間です。
クライアントとミーティングや電話、クライアントの作業をしている間、全て時間を計り、そのクライアントの作業に費やした時間をそのまま請求するというシステムです。例えば、あるクライアントと電話で4分のやり取りをした場合、これは 1 Billable hourとしてつけます(6分刻みなので)。
オーストラリアの法律事務所は、基本時間制なので、クライアントに費やしたBillable hoursをそのまま請求します。
しかし、実際そのままBillable hoursを請求したら、とんでもない金額になり、クライアントが驚く請求額になりクレームです。それでもそれを出さないと、所属事務所に対して説明がつきません。従って、いかに効率良く、仕事をこなすかが重要になります。「効率良く、速く、しかも正確に作業をする」が、クライアントからも事務所からも好印象でそのまま弁護士として生き残れる唯一の道です。
非効率で作業が遅い弁護士は振り落とされます。毎日が生き残りを掛けたプレッシャーの世界。私は、弁護士になって最初の10年は毎朝このプレッシャーの中、気合を入れて出勤したものです。
つづく。