物件購入してから所有期間、いかにリスクを最小限にするか

~Title Insurance(所有権保険)の効果について

オーストラリアでは、ここ数年、頻繁なウイルスメールやテキストの他、弁護士を偽って口座明細を変えた振込詐欺などサイバー犯罪が多発し社会問題化しています。 

そのため、送金の場合は、メールで受け取った口座明細を必ず弁護士事務所がお客様と電話で確認することが弁護士会の規則で義務付けられています。 

そんな中、Netflixで話題になった「地面師たち」を観ました。積水ハウスが55億5千万円を騙し取られた地面師詐欺を題材にした現実味のあるドラマです。 

大手企業でもこのような多額の詐欺に遭ってしまうということが証明された事件でした。

 

オーストラリアの物件購入 

オーストラリアでは物件売買は、日本と違い、契約案件として売り手と買い手それぞれに弁護士が付きます。 

買い手弁護士は、本人確認は勿論のこと、物件の法的調査をして法的に物件が問題ないことを確認し決済をします。基本の法的調査には、登記調査、登記図面、各種機関の調査、土地税調査、売り手担保調査、市税や管理組合調査等をします。境界線の測量や物件の建築許可については、オプション調査になります。 

一方、売り手弁護士は、所有登記確認や所有者確認をします。

 

オーストラリアは家の買い替えは日本と比べると頻繁で、所有者が何人も変わっていることが多いです。そのような場合、家の図面や改装や増築の許可書も引き継いで持っているケースは非常に稀です。 

例えば、庭に小屋や追加のカーポート等、一番最初の所有者が建てた際役所の認可を取っておくべきですが、そうでないケースも多々あります。その場合、買い手はそれを承知で買うかまたは契約キャンセルする選択に迫られます。どうしてもその物件が欲しい場合、無許可を承知で買うでしょう。しかし、決済後、役所から無許可という言う理由で罰金が科せられるというリスクも拭えません。

 

なお、所有者のなりすましは、彼らが本物同様の身分証明書を用意している場合、積水ハウス事件のように専門家でさえも騙されてしまうかもしれません。 

このように、物件購入という大きな買い物をする際、リスクは伴います。

 

リスク回避の手段として 

決済直後から所有する期間、潜在するリスク回避の手段としてTitle Insurance があります。メルボルンやシドニーでは以前からあったのものですが、近年クイーンズランド州でも、詐欺事件の横行によりこれが習慣化し始めてきました。 

Title Insurance とはどういうものなのか?  どういう保険か? 
⇒ 居住物件の所有権(タイトル)に対する保険  ※居住物件に限る 

カバー期間は? 
⇒ 購入決済直後から所有期間内 

何から守る?

⇒ 例として 
a. 所有者のなりすまし 
b. 無許可の改装・増築など 
c. 調査しても出てこなかった税金の支払いなど 
d. 隣との境界線など 

4. 加入は義務か任意か? 
⇒ 任意 

支払いは? 
⇒ 決済時に一回のみ 

加入の料金は? 
⇒ 例:$1,000,000 のユニット(マンション)購入の場合、$767.47
(2024 年9 月時点) 

加入方法は? 
⇒ 担当弁護士へ依頼 

支払いはいつする? 
⇒ 決済時に支払い 

対象物件は? 
⇒ 一軒家、ユニット、更地など(商業物件はX) 

いつでも加入できるのか? 
⇒ 購入決済前のみに限る  注意:決済後の加入は不可

※Title Insuranceの保険は保険会社の判断に委ねられ、当初はその責任を負いません。